これからは映像だと確信した
これからの日本を選ぶ「衆議院総選挙」投票日。
支持政党がとくになく、政策で選ぼうとした場合、新聞やウェブサイトでの各党スタンス、政策の違いをまとめた記事がいろいろ参考になったと思います。現実には、順風・逆風という大きな流れが結果になったと思いますが、そこには少なからずTVをはじめとしたマスコミの情報の出し方が影響しているのではないかなぁとは思いました。
経済・雇用の問題が強く求められていつつも、最近の投票率の年代別ボリュームゾーンは50〜70代の方。会社人間であれば、定年退職前後にあたる人の意見が、「これからの日本」をどう考えているのか。未来よりは、目前の安定を望んでいる傾向があるのかなと感じました。
そんな今日、NHKで「ミニミニ映像大賞」の受賞結果を発表する番組がオンエアされました。
第10回目となる今年のテーマは「これからのこと」。「ミニミニ映像」というのは、1作品30秒という短い映像作品での応募だからです。
最終審査に残った29作品は、このままCMとしてオンエアされても違和感がないほどの映像クオリティで、まずはそこに驚き。かつては歴然としていたプロとアマの作る映像の差がなくなっている!デジタル一眼カメラによるムービー撮影、パソコン映像編集ソフトの高機能化は、映像によってメッセージ伝達を成し遂げるレベルの作品を個人でも作れてしまう現状を目の当たりにした思いです。たった30秒でも、感動してしまった作品もありますから。
YouTubeにあがっている多くのムービーは、映像の素人だって「リアルさ」を楽しむ情報伝達の多様性を見る側に培ってくれました。そこに意図をもってメッセージを伝えられるだけの技量をもった映像作品がもっともっと増えていくことは、わくわくせずにはいられません。
やはりクオリティの高い映像は、しっかりとした想いが伝わってきます。シリアスな問題だって、問題意識を伝えるために、笑いや希望を採り入れる巧妙さ。文字だけの情報伝達よりも、映像はより多くの幅をもってメッセージを伝えられる利点があるなと思っています。
いま広告業界で注目されている「ストーリーテリング」という考え方。映像作品はまさに「ストーリー」ありきです。いきなり情報を与えられるよりも、まず共感が必要ということですね。情報を料理の材料としたら、映像は皿に盛られた料理。レシピありきでなく、おいしそうな料理を見せてからのレシピなんだろうと思います。
あと3年もすれば、現在ウェブに掲載されている画像のかわりに、動画が使われる比率が逆転するだろうということをアメリカの業界トップの方は確信しているとのこと。そのための布石がiPadでありWindows8であると。
長い文章を読むよりも、手短にポイントをまとめたムービーで商品紹介をしているケースは、多々見かけるようになりました。「これから」のためには、映像の力が重要と思った次第。前々から思っていたけど、今日の選挙結果と「ミニミニ映像大賞」が強くそう思わせてくれました。
追記(12月12日)
やってみたいことをネットで公表し、賛同してくれた方々からの出資金で実現化させる「クラウド・ファウンディング」というものがあります。海の向こうの話でもなく、日本でも自主制作映画やアートプロジェクトの出資金を集めるファウンディングがあります。ほかに社会貢献活動やスポーツ支援なども。
そこで大切なのは「やりたいことを語りかけてくる本人の映像」。そこで熱意や、やる意味など、見てくれている人に丁寧に語りかけている姿に心動かされます。分かってもらおうではなく、感性を共有できる人からの共感を得るためのトーク。それは、とても大切なコミュニケーションなんですね。そしてそれはテキストでなく、やはり表情と声のわかるムービーである必要があるのだなと思った次第です。
written by TZK:アートディレクター
※この記事内容はTZK個人の見解・意見であり、所属する組織の公式見解ではありません