ネット体験って同世代感イメージとして使えるの?
アニメ「妖怪人間ベム」主題歌の替え歌で「そーかいにーんげん(爽快人間)」と歌うCMがヘビーローテーションしてる。なにかビールのCMだったな、缶がブルーのやつ。
そこまで記憶があれば、ちゃちゃっと検索して「アサヒブルーラベル」のCMだったことがすぐ分かる。
インパクトだけが残って、なんの商品のCMだったっけ?というものが多いなか、これは記憶に打ち込むイメージの部品化がうまいな、と感じた。
と同時に、こういうネタを持ってくるあたり、自分がユーザーターゲットにどんぴしゃはまってる爽快感と、同世代が作ってる(もしくは企画にGOを出している)だろうという勝手な思い込みの親近感に思わず★がついた。好感度は、なにもタレントばかりでなく、作り手の同世代感覚からも得られる。特に使っている音楽から感じることが多い。70〜80年代の優れた楽曲だと、当時若者だった中年層と、はじめて聞いて新鮮さを感じる今の若者の2ポイントを攻めることができる。
CM・広告では、イメージとメッセージをキャッチしてくれるだろうユーザー層を、厳密に設定する必要がある。そしてWebの世界でも、ユーザーターゲットの設定は重要と言われている。
Webと一口にいっても、広告、キャンペーンと常設サイトでは、ケーキにするか、いつも食べるおいしいごはんか、くらいアプローチが違ってくる。ここで区分は置いておいて、ターゲットユーザーを釣る「餌」として(言葉は悪いが)、同世代による共感イメージでネットに関わる体験ってのは使えるのだろうか、ふとそんなことが頭に浮かんだ。
ソーシャルなコミュニケーションでは当然、同世代特有のキーワードで人が集まるだろうし、会話のつながりも生み出すだろう。
「ネットスケープの"N"の奥に飛ぶ流れ星みたいな...」と言えば、「あったねぇ!」と、チームメンバーのNOBIくらいは拾ってくれるし、もう何人か反応くらいはしてくれるかもしれない。
テレホーダイ・タイムにまとめてサイトまわって、テキストをデスクトップのテキストファイルにコピペしといて、あとで読むんだー。というネタだと、懐かしさの共感というより無駄な苦労してただけ、としか思えなくなって、自分で辛くなってくる。
若い人からも「それが何?何の役に立つ知識?」とばっさり斬られてしまうだろう。
急速に発展しつづけているネットの世界じゃ、過去は履歴の中にアーカイブされときゃいいもので、今よりちょっとだけ先の未来にあるものしか興味の対象にならない、と考えるべきだよな、やっぱり。
少し前、Facebookでは過去の記事をたどるのが超面倒、ということを書いたら、「今を共有する」ツールだからそれでいいという意見が多かった。
また、ネット黎明期の人間にとってはデジタルライフへの変革を引率してくれていた雑誌「WIRED日本版」が14年ぶりに紙媒体として復活した感慨深さも、思ったほどネット上では話題になっていないことからも確信した。ネットはまだまだ過去を振り返るよーな歳じゃないんだな、って。
ということで、Web上で同世代感を狙おうと思ったら、ネット体験以外のリアルな体験を攻めよう、ってことに今のところ落ち着きました。
written by TZK:アイデアビューロー・Webチームのアートディレクター。