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クライテリオンのアートワーク

2011年2月10日 Creatorsトーク

ビジュアルイメージのヒントが欲しくて、主にアメリカ公開された映画のポスターを集めた「IMP Awards」というサイトをよく見に行きます。
どんな内容の映画かを一目瞭然に伝えようとする傾向が強い日本版ポスターに対して、アメリカ版ポスターの方は、シンプルでシンボリックなデザインにまとめる傾向がありますね。すべてが、ではなく傾向があるって話ですよ。日本の映画ポスターでも、若者向けの邦画ではシンボリックなデザインが多いように思います。
どちらにせよ、人の注目と期待を集め、劇場に足を運ばせ、DVD/Blu-rayソフトを手にとって買うか借りるかしてくれる動機付けの機能が果たせているかが重要です。 とくに前者の、劇場公開時に映画を認知してもらうことが、ポスターのアートワークに科せられた使命ですね。

ハリウッドのメジャー作品ではありませんが、映画史的に重要な作品をセレクトして、画質・音質を最高品質で修復し、独自のジャケットアートワークが世界の映画通をうならせているDVD/Blu-rayレーベルがあります。アメリカのクライテリオン・コレクション。
クライテリオン・コレクションからDVD/Blu-rayがリリースされることは、いわば映画の殿堂入りを果たしたことだとも言われています。

クライテリオン・コレクションからのジャケットワーククライテリオン・コレクションからのジャケットワーククライテリオン・コレクションからのジャケットワーク

僕はBSでHD放送された映画を録画して集める派なので、ソフトはあまり買いませんが、映画好きさんのBlogで、クライテリオンのソフトを輸入してまで買ってしまう記事を読むと、ジャケット・アートワークが所有欲に着火させてしまうことが分かってきます。

劇場公開時のプロモーション目的とはちがい、クライテリオンのアートワークは、すでにどういう映画か知っている人に、永久保存版として所有するに値することをアピールするもの。映画の全体像をみせるのではなく、一部分を象徴的に切り出して、映画をモチーフにしたアート作品のように作っています。ちょっと意外なビジュアルであることも多々あります。映画を観てもらえば、ジャケットがなにを意味しているか、ニヤリとできる企み。アート的な挑戦意欲を感じます。
その意図が分かってしまうと、自分にだけ向けられたメッセージにも感じられて、所有欲をくすぐられてしまうのでしょう。

〈意外なビジュアルでも作品の核心をつくデザイン〉
クライテリオン・コレクションからの意外なジャケットワーク

僕もWebデザインの中で、イメージ性を強く出すものを作ることがあります。その秘訣は「説明的になってはいけない」ということ。仕事をしていく上で、視覚面についての説明や理論立てが必要になることは多いのですが、イメージを優先させるのなら感性へ直接パスを送ることが大切だと思っています。笑いの意味を説明するようなものに近いかもしれません。

僕もクライテリオンのジャケットのように、所有欲を刺激するビジュアルづくりをしていきたいです。もちろんどういうデザインに仕上げるかは、ケース・バイ・ケースですけど。自分自身の所有欲を刺激したいこともあって、定期的にクライテリオン・コレクションのサイトでラインナップを眺めています。


written by TZK:アイデアビューロー・Webチームのアートディレクター。

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