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祝オスカー受賞「おくりびと」

2009年2月24日 レビュー

日本アカデミー賞をはじめすでに60冠を果たしている「おくりびと」が、第81回アカデミー賞外国語映画賞の受賞で61冠となりました!
のちの世代に伝えるべき名作が、ぼくらの世代で生まれたことを嬉しく思っています。

僕は試写会にあたって「おくりびと」を観ました。
葬式という場に山崎努が登場すると、つい伊丹十三監督「お葬式」を思い出してしまう世代です。
本木君は「シコふんじゃった。」の頃と演技も外見もあまり変わらないなぁと思いつつ、生身の人間くささは確実に加味されていて、なんてぴったりな脚本と出会うことができたのだろう!と思いました。
その幸運さが、怒濤の受賞ラッシュの芽だったのでしょう。

納棺師の所作は、茶道のように洗練され、目が釘付けになります。
僕でさえこの映画で初めて目にした一連の所作は、日本以外の人がみたら、奇異なものに映らなかったか?と心配になりますが、死者を敬う気持ちと別れの痛みは、宗教に関係なく世界共通なんですね。

スクリーンを観ながら何度も泣きました。こんなに泣いた映画は久しぶりでした。
泣ける映画というのは、「ここが泣きどころ」という場面でないところにある、なにげないリアルさや美しさに、感情がものすごく反応してしまうのです。
この映画では人の表情にやられました。そして白く透明感ある画面から、冬の山形の寒さと、生きている人の手の温かさのコントラストが伝わってきました。
印象的な音楽といい、ほんと、よくできた映画です。拍手。

ところで今年のアカデミー授賞式は、演出がよかった!
司会を務める「Xメン」ウルヴァリンことヒュー・ジャックマンが、あんなに歌って踊れる役者さんだったとは!
男優賞・女優賞では、過去の受賞者5人が登場し、1人がノミネートされた俳優1人を賛辞とともに紹介していく展開もよかった。先輩からあんな言葉をもらったら、涙ぐみますよ。
出だしから「今年のアカデミー賞は大幅に予算を削減しております」と口上しつつも、人の力によってこれまで観てきた授賞式で一番いい出来になったと思います。
「予算がなくても0からモノを作り出せるのが我ら映画人さ」という心意気が伝わってきました。

主要な賞を勝ち取った「スラムドッグ$ミリオネア」。昨年「ダークナイト」を高く評価していたアメリカの映画ファンが同じくこの映画をプッシュしていました。それを知って期待を膨らませていた頃は日本公開が決まっていなかったのに(アメリカでさえ一般公開が危ぶまれていた)、これで宣伝をガンガンうてますね!
「トレ・スポ」のダニー・ボイル監督が世界一の映画大国インドで撮ったパワフルなムービー。インド映画では、1本の作品に笑いあり涙あり・アクションあり・サスペンスあり・ミュージカルありを詰め込むのがお約束で、上映時間も長めのものが多いんです。「ムトゥ・踊るマハラジャ」もそうでしたよね。
でもダニー・ボイル監督ですから、やり切った上で2時間以内に収めているそうですよ。かなりアッパーな気分になれるそうです。いやあ、早く観たいです。

written by TZK:アイデアビューロー・Webチームのアートディレクター。

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