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お金を使わない新ニッポン人

2008年6月 2日 MONO & KOTO

日曜の夜、テレビ東京でやっていた「久米宏・経済スペシャル"新ニッポン人"現わる!」は、興味深かったなぁ。
お金を使わない今の20代、彼らを「新ニッポン人」と番組が命名、今の40代いわゆるバブル世代と、幸福感と消費傾向の違いを紹介してました。

今の40代が20代だった頃と、こんなに違うんだよ?いつの時代も繰り返される「今どきの若者は......」という、年上目線からはじまった番組。
新ニッポン人は、車を欲しいとは思わない。お酒を飲まなくなった、とりあえずビールではなく1杯目から自分の飲みたいものをオーダーする。海外旅行なら、ボランティア経験のできるツアーがいい。老後の自分を考えて、しっかり貯金をする。
たしかに新橋系おじさんとは違う人種かもしれない。

この記事を書いてる僕は40代のクセに、車持ってないし、お酒は基本飲まないし、個人年金を月々積み立ててます。だから20代と意識を同じにしてるんだよ、と言いたいわけじゃないですよ。たまたま今の時代の空気に同調してることがいくつかあるけど、20代にバブルという異常な時代を経験したかどうかで、生き方の価値観は大きく違うよなぁ、とこの番組だけでなく現実でも十分感じてるわけです。自分の存在をスケールアップさせたいどん欲さというか、負けん気というか......。


40代と20代って、会社の中においては、モロに上司と部下の年齢じゃないですか。
上をめざそう、自分のなりたい自分に近づこうというモチベーション部分が、40代の僕と20代のメンバーとでは、同じ質でないことは気づいてましたよ。
それでもWebの世界は、先人のやり方に習っていれば間違いないというものでなく、その世界にいるすべてのヒトが同時進行で同時多発的にやり方を築いているから、キャリアの上下関係は本人の努力次第ってところがある。モチベーションの質に対して良い悪いは関係なく、結果を出せるかどうかがポイントなんだって考えるようになった。迷った時期があったんですよ。同じことをやっているのに、どうして自分とまわりとで温度差が生じるのかって。


賢く堅実、だけどダイナミックレンジが狭い。将来に希望を抱いていないから。
日本という国の未来の危うさを感知して、自衛しながら生きてる世代。
ざっくり丸めてしまえば、「新ニッポン人」にはそんな感じだって。
そして彼らは、バブル世代の金遣いを「かっこ悪い、イタイ」って思ってるんだって。
バブル時代の残骸を目にした時、一種の気恥ずかしさを40代も感じるけれどね。六本木ヒルズが誕生した頃からまた「セレブ」という言葉に置き換わって、高級志向が蔓延してきたように思う。それを身近に感じるかどうかは、世代というか人種によってちがうけれど。

この番組が興味深かったと書いたのは、番組終盤の展開がちょっと意外だったから。
スタジオに集まった40代グループと20代グループの意見を拾っていく展開はなくて、久米がマイク1本持って街に出て、テレビカメラをまわさず20代にインタビューしたんだよね。27歳の写真家 梅佳代の目を通した写真に、マイクでひろった声がかぶさる映像が淡々と続いていくわけ。テレビカメラの前でなく、久米という人を前にした時の「話しかける」素の感覚が映像になってて面白かった。
いろいろ取材してみて、どこに落としどころを見いだしたらいいか、迷った結果だったのかも。理解する、しないでオチをつけてしまうのは、これからの日本を担う彼らを否定することになってしまい、身も蓋もないから。
そんなことを想像していたら、この展開、どことなくマイケル・ムーア作品から感じる何かに近いと思った。 作為的ってわけではなく......、いまあるメディアが相手にしていない層の声を、メディアに乗せたらどうなる?もっと知りたいと思うかい?という挑発感がムーア的だったのかも。

こういう内容を民放の番組として放送できたっていうのはゲリラ的だよね。買ってもらうためにCMを流してるスポンサーがいる番組で、モノに金を使わない人たちを紹介しているんだから(苦笑)


written by Hidden:アイデアビューロー・Webチームのアートディレクター。

コメント

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  1. 01

    Posted by のっち 2008年6月 2日 11:30

    たしかに、若い世代には価値観の違うひとが多いけれど、何かを成し遂げようとしているひとは、年齢がいくつであっても、熱い想いを持っていると思うんだよなぁー。20代の頃は、迷っても、ブレてもいいと思う。また、自分の目標を持って、ちゃんとそこに戻ってこられるなら。それが、なかなかできねーんだよね (^-^;)

  2. 02

    Posted by Hidden 2008年6月 2日 18:39

    のっち>>

    >>何かを成し遂げようとしているひとは、年齢がいくつであっても、
    >>熱い想いを持っていると思うんだよなぁー。

     僕もそう思うよ。
     世代のカテゴリー化は、20代にどんな世の中だったか、
     で区分けされてるけども、いつの時代でも突き抜けていこうと
     するヤツは熱いココロを持って存在してるよね。

    20代って、30代以降の自分のための自己投資の時期だと思うんだ。
    その時期に得たもの、感じたものが、その人の芯というか、
    アイデンティティになっていくんじゃないかなぁ。
    迷いやブレは、たぶん死ぬまで延々と続くだろうからね。
    どうせ落ちていく一方なら、できるだけ高いとこまで登って、
    地上への激突時間をひきのばしたいもんです(笑えず

  3. 03

    Posted by 2008年6月 3日 13:03

    20代で同窓会をするとね。
    クラスの1/3が不安定雇用層なんですよ。

  4. 04

    Posted by Hidden 2008年6月 3日 23:34

    あ さん>>

    数年前と違って、いまの若い正社員は転職を望むよりも
    いま勤めている職場で終身雇用を望む傾向にある、
    とニュースで言っていましたっけ。

    人材紹介の会社は、正社員をとるよりも、
    マッチングがうまくいかなかった場合は、取り替えの利く
    派遣or紹介で人材確保した方が賢いとアドバイスしています。

    現実は限りなくシリアスです。

    メディアでなにを取り上げるか、どうトレンドを作っていくか、
    を考えているのは、30代〜40代が中心なんじゃないでしょうか。
    リアルな20代の姿を伝えるには、
    他世代へ向けた20代の言葉がもっと必要だと思うのです。

  5. 05

    Posted by 2008年6月 4日 09:58

    >若い正社員は転職を望むよりもいま勤めている職場で終身雇用を望む

    若者はなぜ3年で辞めるのか?城 繁幸 (著) この本にも書かれていますが、終身雇用の年功序列制も信用していないんですよねぇ。ブラックを限りなく避けて通り入社、社内の実情は悲惨な物だと適当な時期に、社畜になる前に撤収しちゃう訳です。

  6. 06

    Posted by 2008年6月 4日 10:23

    若い世代は、幼少の頃から倒産する会社を観て育っていますから、神話なんぞ信用していません。

    で、会社側は「最近の若いモンは忍耐が足らん!」となり、たいして原因を調べもせず、派遣&請負に流れるわけです。人材は社の財産という事を忘れて・・・

  7. 07

    Posted by Hidden 2008年6月 4日 17:31

    あ さん>>

    つづけてコメントをありがとうございます。

    「若者はなぜ3年で辞めるのか?」という本、
    読んではいませんが、本屋で見かけました。
    今の20代に限らず、むかーしからそうですよね。

    「若者」というカテゴリーにいられる期間と、
    そうでない年齢とでは、生き方の考え方が当然
    違ってくると思います。

    同じ若者でも、どんな業界のどんな規模の会社に
    属しているかによっても、考え方は様々でしょうね。

    でも言えるのは、
    社会で働いているほぼすべての人が
    「神話」なんぞ信じてないと思いますよ。
    そういう世の中になってしまった、という現実を
    どの程度受け止めているかについては、
    年代によって実感度が変わってくると思いますが。

    会社の存続を考えた場合、若い人材の育成を行って
    いかなくては、上が退職したあとを引きついでいく層が
    いなくなってしまいます。
    でも会社のあり方がここ数年で大きくかわり、
    先がどうなっていくか、読めなくなってしまった。
    神話なんぞなくなってしまった。
    人材の育成に時間とお金をかけてる余裕がなくなってしまった。

    「最近の若いモンは忍耐が足らん!」とはいつの時代でも
    言われ続けてきたことでしょう。
    まだ人生の方向転回ができる年齢で、そうでない年齢の
    覚悟を求めたって、よっぽど熱いヤツでない限りスルーして
    しまうでしょうから。

    でもそれをいいことに、今の世の中の余裕のなさの
    クッションとなる部分を、いまの若者に背負わせている
    んじゃないか、とは僕個人では思います。

    @ちなみに当社では、規模は小さいのですが、
    基本的に正社員しかとらない方針でやってきました。
    「4」で書いた人材紹介の話は、そんな当社に対して
    いま多くの会社では…と業務内容を説明いただいた
    人材紹介の会社の方の話を元にしています。

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